一粒万倍 種まき大作戦
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棚田チャレンジ 2009 vol.3 090328-29  開墾3 天地返し&畝立て

棚田チャレンジ2009 vol.3 090328-29

念願の「天地返し」がやってきた!

鴨川を離れてからも開墾話は続いていた。「何を植える?」「どこまで開墾しようか?」話はメーリングリストで収まらず、前回参加者の堀田さんが店長を務めるマクロビオティックカフェ「M-Café de Chaya」で東京オフ会を開催することに。集まったメンバーで開墾した畑に何を植えるかを熱く語り合うことになったのだった。

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「どうせやるならイベントで成果報告したい」

「やるじゃん!っていわせたい」

「でも野菜も食べたい」

「餅つきしよー!」

などなど、テーマは開墾から収穫・お披露目までをどうやって楽しむか。優勢なのは雑穀、小豆あたり。麦は種まき時期が合わず断念することになりそうだ。それにしてもM-Caféのご飯はおいし過ぎるくらいおいしい!

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そしていよいよその日がやってきた。今回はいつも世話を焼いてくれている主催の2人が参加できなくなったので、レンタカーを借りて参加者同士で現地に向かうことになっていた。メンバーは昨年から通っているマサコさん、タミコさん、ルミさん、今年から参加してくれているヒデキくん、私の5人。運転手は黒一点のヒデキ君。ありがたやありがたや。

今日の夜もう一人加わる予定ではあるのだけど、私は明日、別件アリで早々に現地を発たないといけない。という訳で実質5名。しかも女性が4人という驚きの構成なのである。力仕事大丈夫かな? なんて心配になるのだが彼女達はそんなこともおかまいなし。

「今度こそ晴れそうだね!」

「やっと天地返しができる〜!」

と車の中は大騒ぎなのだ。タミコさんは夜勤明けで仕事場から直行。なのに、いつもと変わない元気な顔で会話に参加していた。ちょっとそこのお姉さん達、これから力仕事なんだけど、やることわかってんの? と思わず突っ込みを入れたくなるようなハシャギっぷり。どうやらみんな、すっかり開墾にハマっているみたいだ。

そしてこの日から始まったのが、ETCで1,000円乗り放題。鴨川も東京から随分行きやすくなる。棚チャレも早速ご利益にあやかれる。

カーナビに連れられるままに走っていると、なぜだか随分手前で高速を降りさせられた。そのおかげで、千葉の地大豆としておなじみの小糸在来の産地・君津市の小糸地域を通って感動を新たにしたり、珍しく2回も渋滞に巻き込まれたり、予想もしていなかった集落内の抜け道を通らされたりとなかなか波乱の道のりに。さらにきゃあきゃあと盛り上がりながら現地に到着した。

昼食後に畑に行くと、前回とはうって変わってカラカラに乾いた地面。そして、菖蒲を始めとする雑草達がお出迎え。薮が切り開かれた土地には既に、新しい生命の息吹が始まっていた。

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そんな新しい命達には申し訳ないのだけど、今回は畑に変わってもらうことになった。菖蒲の根は一見生姜のような形をしていて、地下をはうようにして一帯に広がっている。これを取り除き、土を掘り起こしていくのだ。自然王国からは頼りになる男性スタッフ4人が参戦。おかげで男性5名、女性4名と形勢逆転。頼りになる加勢を得て、チャレンジャー達は意気揚々を作業開始した。

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「天地返し」は上下を逆さにして混ぜること。今回の開墾作業では、スコップくらいの深さに土を掘り、土を柔らかくすることと、空気に触れていなかった面を表に出して微生物の活動を活発にすることの2つの目的がある。

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驚いたのはチャレンジャー達の仕事ぶり。さすがに開墾も3回目になるだけあってスコップの使い方も板についてきている。サクサクさしては土を返していく姿は、なかなか手慣れたもの。そんな調子で、ペースはなかなか快調。途中に小さな休憩を挟みつつ作業をしていると、ひと組みの家族がやってきた。スロームーブメントの火付け役・「環境=文化NGO ナマケモノ倶楽部」事務局、馬場さんと麻の研究家・赤星栄志さんと双子の女の子達。赤星さんと馬場さんは、今年から「大山千枚田保存会」の水田トラスト会員になったそうで、千枚田に来たついでに立ち寄ってくれたのだった。

「私もやらせてもらっていいですか?」

馬場さんの言葉に大歓迎でスコップを渡し、双子ちゃんも一緒に親子で天地返し。3人でスコップに手をかけ、固まった土を少しずつひっくり返していく。そして父の赤星さんは、じっとそれを見守っているのであった。

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そうして夕方、念願の天地返し終了! いよいよ明日は畝立てだ。

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帰り際に畑に立ち寄り、王国野菜を収穫。それぞれが腕によりをかけて夕食を仕上げた。こうやってみんなでつくってみんなで食べる。それがまた楽しい。おいしい。そして、王国に帰ってきていた加藤登紀子さんがYaeさんと一緒に姿を現した。彼女の視点は柔軟、そして思いは熱い。こうして鴨川に通って来る若者がいること自体が、彼女が実現したかった夢のひとつだったに違いない。

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そして食事が一段落ついた頃、昨年草取りやかかしづくりにも参加してくれたワカメさんがやってきた。久々の登場に盛り上がる、スッとテーブルに小さなパウンドケーキを差し出した。

「私、明日誕生日なんです!!」

おめでとうというか言わないかのうちに、

「オレ、今日誕生日!」

という林さん。そして

「私も3月生まれ〜」

と、さらにタミコさんと私が声を上げる。さらには

「私は2月26日」

とマサコさん。4人の誕生日宣言で、5人のバースデイパーティーが始まった。

ハッピーバースデイ! 棚田チャレンジャー達!

話はさらに盛り上がり、話題はいつしか鴨川の暮らしへと移っていった。

今年から王国スタッフとして棚田チャレンジに関わってくれることになった林さんは、奥さんと一緒に鴨川で「地域通貨 安房マネー」の事務局をしている。地域通貨は自分たちで自主流通させているお金で、政府発行のお金ではカバーできない部分をフォーロする性格を持っていて「補完通貨」とも呼ばれている。地域通貨には、各自が持つ通帳に交換のやり取りと記入していく通帳型と、印刷された紙幣のやり取りをする紙幣型の2つがあるが、安房マネーは通帳型で、会員登録している人達の間で使われている。現在は150組(登録は個人、または家族やカップル)が登録していて、それぞれが自分のできるサービスを交換する度に通帳に、日付、提供した、または提供してもらったサービス、サインを記入して取引きしていく。実は私も昨年から会員になっていて、安房マネーコミュニティの一員としていろんな繫がりを楽しませてもらっている。安房マネーの魅力は、南房総を中心に広がる、地球と調和する暮らしを実践しているナタティブな人々を繋ぐネットワークと、お互いに助け合う大きな家族のような関係性。

「安房マネーにはいろんな能力を持った人達が、農作業や送迎、草木染め、オーガニックスイーツ、CD、ピアノ教室など、それぞれのできることで助け合う関係ができているんです。ボクは部落の活動にも参加していて地域の長老達とも交流があるんだけど、彼らはボク達のやろうとしていることを理解してくれているよ。地域通貨は農村に昔からあった助け合いの仕組みと似ているところがあるんだよね。ただ、安房マネーの場合は登録者の住んでいる範囲がもっと広がっているから、地域コミュニティというよりも意識で繋がるコミュニティといえると思う。それにやらなければいけないということはないから、みんな自由に楽しく繋がっているよ」

かつてNHKで地域通貨を紹介した番組『エンデの遺言』が放送されたのをきっかけに、全国で様々な活動が展開された。しかし現在まで活発な活動が続いているところは多くないと言われている。そんな中、2002年に10人程で立ち上げ安房マネーは、少しずつ人数を増やしながら、助け合いの輪を広げてきた。

「年に二回、会員同士の交流ができるコミュニティカフェ&マーケットを開催しています。今度は6月28日・日曜日。オープンな集まりだから、都合が合うようなら参加してくださいね」

新しい鴨川情報にますます通うのが楽しみになってくる。

林さんの話を聞くうちにワカメさんはこんなことを口にし始めた。

「地元の人ともっと交流したい!」

ここに通うに連れて、鴨川の魅力に惹き付けられていく。通い始めて一年以上が過ぎた彼らにとって、鴨川はもはや他人の住む土地ではなくなってきていた。今年で、鴨川で4度目の田植えを迎えようとしている私にとっても……。ふと見れば、時計は深夜2時をまわっていた。胸がほんのりと温かくなった感覚を抱えながら、私たちは眠りについた。大勢で来るのも楽しいけど、少人数でじっくり話すのも味わい深い。鴨川に集まった仲間達と、こうして一緒に過ごす時間を持っていけることが何より嬉しい。

そして翌朝、春を間近にした空は予想通りきれいに晴れ上がった。今日の作業は畝立て。ひと畝に2列植えていくことを想定して、畝幅は約1.5m、畝間は約30cm。

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土木作業の甲斐あって、いよいよ畑らしくなってきた。そんなワクワク感と同時に、ちょっと寂しいニュースもあった。昨年春から研修生として王国で働いていたたけちゃんこと竹本さんが3月で王国を離れるので、この日が最後の棚チャレヘルプになる。

畑に立った一同を残して、私は八王子市にある高尾山でのイベント会場へと向かった。高尾山は本土で見られる植物のほとんどが見られ、そこを住処にする鳥や昆虫も数多く生息している高尾山。そんな高尾山では今、水脈を切り、環境を大きく変えるトンネル工事が進んでいる。当然、環境を守る活動が盛り上がりを見せていて、この日はトーク&ライブイベントが開催される。私はそちらに出演するために朝イチで出発しないといけなかった。後ろ髪ひかれながらも畑を後にする私。だけど、このメンバーならきっと大丈夫。チャレンジャーのみなさん、後はよろしく!

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そうして、畝立ては終わり。後日メーリングリストに報告が入った。

35畝+1小畑。5月からの種まきが楽しみである。

photo & text by kco_sawada 澤田佳子

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