一粒万倍 種まき大作戦
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棚田チャレンジ 2009 vol.4 2009.05.05-06 田植え!

アースデイも終わっていよいよゴールデンウィーク。棚田に田植えの季節がやってきた。棚田チャレンジの田植えも2回目。さてさて、今年はどんなドラマが待っているんだろう。

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そんなワクワク感を抱きながら迎えた田植え当日……だったのだが、なんと朝から雨模様。しかも、雨足は強くなる一方で止む気配はなさそうな降りっぷり。あぁ〜、なんてこと。昨日までは快晴で田植え日和だったのに。実は前日、前々日と、鴨川の他の場所で田植えをしていた私。3軒ハシゴの田植えツアーの最後を飾る棚田チャレンジが雨。よりによってなんで雨なんだ〜〜とぼやきながら、友人の車で王国へ着くと、雨にも負けない元気な顔が揃っていた。 昨年40人程だった参加者も70名を越え、自然王国の山賊小屋は人であふれかえっていた。見慣れた顔も、初めての顔も、カッパの下からのぞくその顔は、笑顔、笑顔、笑顔!

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水不足が棚田のウェークポイント。平野部の水田に比べて収穫が少ないのも、年間を通じて安定した水量を得にくいからだと言われている。特に田植えとそれからしばらくは水が豊富でないと雑草に負けてしまうのでイネが育ちにくい。そう考えると、この上ない恵みの雨には違いなかった。まあ、少々寒くはあるけど、これはこれでよしとするしかない。降ってるものはしょうがない。今年も楽しんでいきますか!

そして、いよいよ棚田へ。本当は裸足でもいいくらいなのだけど、安全のために田植え足袋を履いて作業する。初めての人もベテランも、大人も子どもも黒い足袋で抜き足差し足、ゆっくり田んぼに舞い降りていった。水たっぷりの田んぼに入るこの感触、うーん、たまらない。時々よろけたりしながらも、ゆるゆると奥に進んで行った一同。一列に並んでいよいよ田植え開始だ。

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ここで、田植えをしたことのないみなさんのために、田植えの進め方を説明しておこう。最近は機械でやってしまうことが多いが、レジャーとして人気を集めているのが手植えでの作業。この時は等間隔に植えるために、植えるところに印のついた紐を張ったり、コロと呼ばれる円錐形の道具を水を少なくした田んぼに転がして印を付ける。そして、苗を手に取りいよいよ大地に命を着地させていくのだが、この時、たくさんお米がとれるように多めに植えればいいかというと、実はそうではなかったりする。イネは分蘗(ブンケツ: 一本の苗から葉を増やして株が太くなる)して大きくなっていくので、最初からたくさん植えるとその繁殖力を阻害してしまい、成長を妨げる。ひとつの株には2−5本くらいの苗を植えれば充分に大きく育つのだ。これが古代米や品種改良されていない強い種類の苗になると、1本でも充分にしっかりとした株に育つ。王国で植えているのはコシヒカリ。1回に3−4本を、間隔は20−30センチくらいを目安に植えていく。

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植え方のコツは、手を苗の上からかぶせるようにして、根元を親指と人差し指、中指の3本でつまみ、土に触れる瞬間に親指を抜いて、人差し指と中指で土の中に差し込んでいこと。これを、苗が土に触れる瞬間に素早くやっていくのだ。指の穴が大きく残ると苗が抜けやすかったり、ゆらゆらと倒れたりする原因になるので要注意。

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こうしてたくさんのチャレンジャーの手によって、棚田に緑が戻ってきた。

今日の田植えには自然王国理事、石田三示さんも参加して、メガホン片手に田植え指導。石田さんは故・藤本敏夫さんと親交が深く、「日本の棚田百選」に選ばれ、今や鴨川きっての観光名所となった大山千枚田の大山千枚田保存会の会長でもある。大山千枚田は広さ約3haの急傾斜地に、階段のように連なる大小375枚の田んぼが連なる美しい景観を見せているのだが、都市と農村を結ぶ活動も活発で、オーナー制やトラスト制による棚田の運営、大豆や綿藍のトラスト、そして家づくり体験塾など、様々な趣向を凝らしながら、都市と農村を繋いでいる。因みに開墾した畑の近くにも、この家づくり体験塾で家を建てたお宅がある。

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大山千枚田保存会HP

そんなふうに様々な人が交差する鴨川の地、種類が多いのは人間だけではない。植物などの希少種も多く、田んぼにもトウキョウサンショウウオなど今では数の少なくなってしまった生き物も生息している。生命の生きる場所としても、棚田は貴重な場所となっているのだ。それを未来へ伝えていくのも大事な仕事。しかし、過疎化の進む日本の農山村では、棚田を維持管理していくのはすでに難しくなっている。棚チャレで都会の若者達が田舎にやってくることは彼ら自身の感動体験を増やすだけでなく、田んぼや自然を守っていくことで、地域や地球に貢献してもいるのだ。

3枚の棚田は順調に田植えが進み、残すは一番上の段のみになった。この段はうるち米半分、餅米半分。餅米を植え終わり、うるち米を向かい合うようにして植えていくと、最後は田んぼの湾曲にあわせて、V字型に。なんだか妙な風景に、向かい合いながら思わずニンマリ。V字はその辺を短くしながら、徐々に徐々に小さくなっていった。そしてついに田植え完了! しかしその頃には既に、下の段を植えたメンバー達は寒さに震えながら引き上げていたのだった。体を動かしている間はなんてことないのだけど、止まるととたんに寒くなるのだ。そしてチャレンジャー達に最後の仕事、集合写真が待っていた。雨にも負けずに全員でスマイル。笑顔と一緒に田植え任務完了だ。

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夕食は、会場にあふれんばかりの人・人・人! 王国の野菜と南房総で揚がったばかりの海の幸たっぷりの夕食に舌鼓を打ちながら、Yaeさん、王国スタッフ、研修生も加わり全員で自己紹介。宴は夜遅くまで続いたのであった。

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翌日はいよいよ開墾した畑の種まき! 夜の間ずっと降り続いた雨も朝になると小降になり、畑に出る頃には気にならない程になっていた。約2ヶ月ぶりの畑にはすでに草が生え、みどりが生き生きと輝き始めている。春だなあ〜をいう感慨を味わいつつも、そんな喜びを与えてくれている張本人の草達を苅らないといけないのだから、人間っていうのは業が深い。なんて思索にふけってみても、これをやらなきゃ種まきなんて始まらない。私の存在がいのちの循環の中にあることを思いながら、自然の恵みをありがたく頂いていこうじゃないですか。

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まずはみんなで畑と土手の草を刈って下準備。スギナやドクダミなど、お茶として使える草もたくさんある。そしてヨモギ。これは餅に欠かせない。たくさん摘んで、茹でて冷凍しておくことにした。種まきと収穫が一挙到来だ

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そんな野草摘みも楽しみつつ、いよいよ種まき作業へ。この日撒くのは雑穀4種(高キビ、餅キビ、粟、稗)に陸稲。そして里芋と生姜を植えていく。そして次回はエゴマ、その次に小豆と続く。収穫時期は、雑穀と陸稲はお米と同じく9月〜10月。里芋は10月。生姜新生姜9月、根生姜10月中旬、小豆11月の予定。

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種まきはアートだった。

雑穀と陸稲は約20センチ間隔に穴を開けて種を撒き、上から籾殻で蓋をした。粘土質のこの場所では、土で蓋をしてしまうと水と空気の通りが悪くなってしまう。そこで籾殻をかぶせて発芽しやすい環境を作ってあげることにしたのだ。 一方、湿気に強い里芋とショウガには軽く土をかぶせた。有機農業では草をよけるためにビニール製のマルチをしくことが多いのだが、ここではビニールのかわりに草を敷くことに。 こうすることで草の繁殖を防ぐだけでなく、微生物の繁殖を助けて土を柔らかくしてくれる。

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明るい茶色の籾の丸い穴の横に緑の草マルチ。なんだか大地に絵を描いているような気分で、絵を描かれた畑もワッハッハーと笑っているみたい。見ているだけで微笑みたくなる。しかし、そんな笑いが頭痛に変わっている人も。昨日の夜の泡盛が二日酔いの重〜い頭に変わっていて、動きにいつものようなキレがない。まあ、たまにはこんな回もいいでしょう。

こうして田植えと種まきは無事終わり、いよいよ草との共生が始まる。次回の草取りは一体何人集まってくれるだろう? 去年よりは絶対多いはず「たくさんきちゃったらどうしよう」なんて、いっそうの期待を抱きながら2週間後を待つのだった。

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photo & text by kco_sawada 澤田佳子

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