一粒万倍 種まき大作戦
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棚田チャレンジvol.10 雑穀収穫&稲刈り

草鞋を編んで、俵を編んで、案山子づくりに茶碗づくりと、さらに田舎の遊びを満喫した今年の棚田チャレンジ。夏を越えて秋が訪れ、いよいよ収穫の時期がやってきた。

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晴れの収穫の日は、農家にとってはお祭り。

できるだけたくさんの人と収穫の喜びを分かち合いたい。

そんなわけで今回は、東京から天ぷら油で走るバスを準備して、日帰りエコツアーを決行。約40名の都会の若者達が、カーボンニュートラルな移動手段で棚田にやってきた。

しかし、今年の棚チャレがつくってきたのは米だけではない。開墾した畑にまいた雑穀も、色を変え、穂を垂らし、収穫されるのを今か今かと待っている。農作業にはタイミングが大事。特に、一ヶ月に一度の通い農は、タイミングを逃すと、次に来た時には跡形もなくなっている可能性だって充分にある。収穫のチャンスは見逃せない。

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そこで、今年たくさん通ってくれたチャレンジャー達を中心に精鋭部隊を結成し、黄金色の棚田に行く前に、雑穀の収穫と前回収穫した餅米の籾すりをすることになったのだ。6人の仲間が前日から鴨川入りして、早朝からの作業に備えていた。宿泊先は、茶碗づくりでお世話になった杉山さんのお宅。気のいい杉山さんと杉山さんの田んぼのトラスト会員さんと一緒に、手づくりのいろりを囲んでの宴会。朝早いと言いつつも、楽しいことはやっぱりやめられない。

寝不足の翌朝、最初に向かったのは、開墾畑の近くの井上さんのお宅。井上さんは昨年鴨川に引っ越したばかりなのだが、米、麦、野菜と、何でもつくってしまう自給率の高いご夫婦。なんと、家も「棚田倶楽部」の家づくり塾で、大工さんと仲間の力を借りながら、セルフビルドで建ててしまったというものづくりの人。東京で公務員をしていた井上さんは、早期退職をして、鴨川へ移ってきたのだそう。鴨川には、20代の若者から定年を迎えた団塊の世代まで、いろんな人々が移住してきていて、農的暮らしを楽しむ新しいコミュニティが生まれてきていた。

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井上さんのお宅で機械をお借りして、籾すりを開始したチャレンジャー達。実は労働交換で、田んぼの作業を手伝うことになっていた。その作業というのは、稲藁を束ねること。脱穀の終わった藁の束を集めて大きめの束をつくり、穂先を縛って、根元を縛っていた縄を切る。こうすることで、収穫時から縛っていて、水分を含んでしまった根元近くを乾燥させるのだ。1時間もすると、田んぼには藁束がたくさん広がっていた。

そしていよいよ、畑へ!

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8ヶ月前は2メートルの薮だった畑。そこには今、念願の雑穀がしっかりと実を付けている。最初の頃は発芽率が悪く、本当に実るのかな? と心配していた雑穀達。タカキビ、モチキビ、アワ、ヒエは、それぞれがしっかりと実りを迎え、熟し切っていた。タカキビとヒエはけっこう実りがよかったものの、 モチキビは株の数も少なく、収量も寂しい。しかし、 初めてにしては上々だろう。

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そして雑穀に続いて生姜の収穫も終わった頃、バスが鴨川に到着し、バスの参加者達が畑にやってきた。

収穫した雑穀を見て、歓声が上がる。そこには、一緒に開墾をした人、種を撒いた人達の顔が。みんな感慨深そう、そして嬉しそうだった。一年足らずでこんなに変わっていくなんて。自然の恵みの大きさを感じずにはいられない。

里山では、自然と一緒に生きることでさまざまな恵みを頂いてきたのだということを、あらためて実感させられる。自然も人も、お金もテクノロジーも、すべてが必要なもの。大切なのはそのバランスだ。取りすぎず、つくり過ぎず、良い加減を見極めること。そんな「足るを知る」暮らしの知恵が、今再び必要となってきている。

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そしていよいよ棚田へ。お昼ご飯を食べた後の稲刈りレクチャーの講師は、藤本ミツヲさん。自然王国代表理事だった石田三示さんが国会議員となり、スタッフの宮田さんが秘書となって東京へ行った今、王国は大きな変換点を迎えていた。藤本家の跡取りになったミツヲさんは、石田さんから代表理事を引き継ぎ、新生・鴨川自然王国の舵取りを始めることになったのだ。政権交代で起こった王国の世代交代。ここにも、新しい風が吹き始めていた。

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レクチャーを受けた参加者達、手には鎌、腰には藁を携えて、いよいよ黄金色の田んぼの中へ。時折嬉しそうな歓声を上げながら、稲刈りはサクサクと進んでいった。乾いた稲のにおい、ザクザク切れる鎌の感触。トンボが飛び始めた棚田で刈り取った稲を束ねていると、言いようもない喜びがわき起こってくる。田植えから半年間の苦労が全部吹っ飛んでしまう。もっとも、遊びに来ている私たちは何をしても楽しいだけで、苦労なんて全く感じていないのだけど。

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「去年は稲刈りって重労働だと思ったけど、なんか今年は疲れてないな」

昨年に続いて2度目の参加になる人達からは、そんな声が聞こえていた。こうして少しずつ、私たちは土に近づいていくのだろう。少しずつ、心の中に平和な時を増やしながら。

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こうして今年も稲刈りは無事に終わり、宴の時間がやってきた。

オーガニックビールで乾杯した後、はらぺこのチャレンジャー達はおいしい料理へと一目散。王国カフェのフミエさんによる新鮮野菜の料理に加え、港で仕入れてきたカワハギの刺身、あら汁、そして、定番となった菜の花豆腐。鴨川のおいしいものが処狭しと並んだテーブルに、地元の方にお願いしてつくってもらった料理がひとつ加わっていた。

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千葉県の郷土料理のひとつ「祭り寿司」は、巻き寿司の中に具材や色を付けたご飯で絵を描く華やかなお祭り料理で、棚田倶楽部では地元のおばちゃん達によるワークショップも開かれている。棚チャレの収穫を祝うこの席にはもってこいのめでたいメニュー。「すごーい! きれーい!」と、食べる前に歓声が上がっていた。こうやって地元の文化に触れていくことで、私たちにとって鴨川がまた少し近くなる。それが嬉しくもあり、いつの間にか通い続けてしまうのだ。そうして私たちは2度目の収穫を迎え、いつのまにか「来年は……」なんて言葉を口にしている。土地に馴染むというのはこういうことを言うのだろう。年間を通じて米づくりをした後には、帰ってくる場所がひとつ 増えていた。そして、秋の空に夕暮れが近づく頃、バスは棚田を離れ、東京へと向かった。

その後、収穫した米の脱穀を終えたミツヲさんから届いたメールによると、うるち米の収量は3俵、約180キロくらいになったそうだ。餅米が半俵、約30キロ穫れたので、去年とほぼ同じ。収穫量が減ったと言われている今年にしては、よくできた方ではないだろうか? きっと、みんなの思いが通じたのだろう。来年のアースデイでは、何を食べてもらおうか? 私の頭には そんなことがよぎり始め、また新しいワクワクが広がり始めていた。

でも今年はこれだけでは終わらない。11月には畑で撮れる里芋で芋煮会、畦大豆の収穫、1月には餅米で餅つきもできる。去年よりもさらに遊び力アップで、農閑期を楽しむ企画が目白押しだ。

その第一弾が、10月18日の「土と平和の祭典」。東京のど真ん中、日比谷公園で開催される種まき大作戦の収穫祭で、今年の活動を報告することになっている。草鞋と俵を教えてくれた、釜沼の長老達もやってくる。さてさて、なにが起こるだろう? 今から楽しみで仕方がない。 

                                 text&photo by kco_sawada

大地に感謝する収穫祭「土と平和の祭典2009」

10月18日(日) 日比谷公園で開催! 昨年よりもパワーアップした充実のステージ&農家市場。朝から一日遊べます。友達と、家族とゆっくり遊びに来てください。
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