一粒万倍 種まき大作戦
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草取り第三弾 レポート

草取り-3 7月12・13日

Text&Photo by kco_sawada 澤田佳子

夏到来! 稲達も大きくなった!

七月。夏の日差しに輝く緑が目にまぶしい。山の緑が活き活き輝く鴨川を、棚田メンバー達は一ヶ月ぶりに訪問。例年になく長雨が続いた今年の梅雨は、棚田に恵みの水をプレゼントしてくれていた。おかげで田んぼは水もなみなみ。草の勢いが旺盛になるこの季節にもかかわらず、雑草が少ないのは豊富な水と過去2回の草取りのおかげ。

稲

草は梅雨の頃に目を出し、梅雨が終わる頃から、強くなった太陽の日差しとともにぐんぐん背丈を伸ばし始めるので、梅雨時期の草取りはとっても大事。

「今回取ったらもう大丈夫。草とりはカンペキです!」

王国スタッフ二人の自信たっぷりな表情に、たわわに実った黄金の稲穂を想像してしまう。これは期待できるかも。

前回まいた米ぬかが効いたのか、黄色くなっていた稲は緑に戻り、葉も青々。元気に丈を伸ばしていた。その高さは膝を楽に超えるほど。一ヶ月でずいぶん大きくなったものだなあとうれしくなってくる。田植えをした頃は15センチ足らず。雨、土、風、そして太陽、自然の力の大きさと、植物のもつ生命の力を改めてを感じる。こうして私たちは命の糧を得ているのだ。

田んぼ

だからこそ、草取りも前回に比べるとちょっとキツイ。草を取る為に腰を屈めると、大きくなった稲はちょうど顔の高さになり、葉も鋭く固く、顔や腕をチクチクさす。元気に育ってくれているのはうれしいのだが、こいつがなかなか手強かったりする。こんな苦労があったとは! 農作業はやって初めてわかることが本当に多い。

草取り
草取り

稲の葉をかき分けるようにしながら作業を進める面々。時々「がんばれー」「元気に育ってねー」と声をかけたりしながら、前回よりもさらに慣れた手つきで進んでいく。一見、稲のために励まし、稲のために働いているようだけど、本当の目的はおいしいお米を食べるため。人間ってやっぱり自分勝手なんだなあ。棚田にはアメンボもクモも戻り、油をまく前の賑わいをすっかり取り戻していた。こんなふうにいろんな生き物が共生している姿を見ると、ほっとする。

いろいろな生き物

虫

米のパートナー登場

そして次の日は、草取りに続いて畦の草刈り。前回まいた大豆の種はしっかりと芽を出し、すくすく丈を伸ばしていた。畦の草を刈るのは農作業しやすくすることや蛇などが出にくくなることの他に、土が日に当たって固くなり、畦が崩れにくくなるという利点もあるのだ。大豆の背丈はおよそ20-30cm。ぱっとみただけでは他の草とまぎれてしまい、一緒に刈ってしまいそう。そこで活躍するのが、種まきの時に立てた目印の棒。これを目安に草を刈っていくと間違いはない。しばらく作業を続ければ、まるっこい大豆の葉もすぐに見つけられるようになってきた。

畦道
畦道草取り

大豆は日本の食の基本。大豆があれば毎日食卓にのぼる味噌や醤油が仕込めるのだ。自然王国では自家製の醤油も仕込んでいる。コツが必要といわれる醤油づくり、この機会に一緒にやってみるのもいいかもしれない。だが、しかし! 大豆になる前の枝豆も捨てがたい! うーん、ここは悩むところ。しかし、黄色く色づく前に穫りすぎないよう気をつけよう。

今回の棚田メンバーの中で目立っていたのが手ぬぐいスタイル。首に巻いたり、日よけに頭からかぶったりといろいろ使えて便利な手ぬぐい。薄いので濡れてもすぐに乾き、かさばらず旅にも重宝する。伝統的な絵柄の物もあれば、フェスやイベントで配られるものや、思わずにんまりしてしまうポップな柄など、最近はデザインの幅も広がっていて楽しい。畑仕事を楽しくするアイテムとしても活躍しそう。次回はどんな手ぬぐいが集まるか? 秘かな楽しみが加わった。 

手ぬぐい1
手ぬぐい2手ぬぐい3
手ぬぐい4手ぬぐい5

5月に植えたカボチャもそろそろ食べごろ。もうすぐ出荷。

かぼちゃ

let’s go to the rice fields !

私たちの田んぼに出掛けよう。

次回はいよいよ穂をつけた稲に出会えそう。マイ茶碗とかかしもつくります。 棚田チャレンジでは、フードハートスタンプラリーも開催中! たくさん参加して、たくさんお米をもらっちゃいましょう。

あれは!

途中参加大歓迎! 詳しくは種まき大作戦事務局まで。

種まき大作戦実行委員会


事務局 担当:かんざわ


seed@tanemaki2007.jp

草取り第二弾 レポート02

text&photo by kco_sawada

15日

田んぼにお米のパートナーを!

快晴の朝を迎えた翌日。残るは2段目と3段目の草取りと糠播き。昨日の午後と今朝からの参加者を迎え、人数が増えた棚田メンバー。畦際のクロ塗り部分をよける田んぼへの入り方もすっかり板に付いた面々。あっという間に草取りは終わり、田んぼの畦に大豆をまくことにした。

種まき大作戦と「大豆レボリューション」でおなじみトージバの事務局・神澤さんが持ってきたのは、千葉の在来種「小糸在来」、緑大豆の「秘伝」、山形の赤い大豆「紅大豆」、「黒大豆」の4種類。これを草を刈った畦に区画を分けながら植えていく。
大豆
大豆種まき

ではここで大豆の播き方指南。穴は指の第一関節くらいの深さに開け、大ウを二粒づつ入れて土をかぶせる。次の豆は、足ふたつ分の間隔を開けて播く。せっかく出た芽が雑草と間違えて取らないように、播いた脇に目印の木を立てていく。これには棚田近くの笹薮から笹を調達してつくった棒を利用。 大人も子どもも、やっているうちに表情がどんどんキラキラしたものになっていく。 なんでも手づくりがなんて面倒、なんて思うかもしれないけど、実はとっても楽しいものなのだ。
目印作り
目印

昔、日本の農村では、田んぼの畦に大豆を播いて育て、自家用の味噌や醤油を造っていた。これは日本人の食の基本の米と豆をつくるのに、とっても合理的な方法じゃないだろうか? そんな懐かしくて理にかなった風景が、棚田に現れる日も近い。

お昼を食べて、これから帰るという頃、私たちは昨夜たき火をしたところから王国の棚田を眺めていた。宮下雅之さんがこうつぶやいた。

「この風景、懐かしいって思うようになっていますね。街で生まれ育った僕にとっては、こういう田舎の風景は非日常なんですけど、両親の田舎のおばあちゃんのところに行った時のような気分です。1回目に来たときよりも近くなったというか、帰ってきたと言う気がしますね」

懐かしい。それは思い出と共に湧き出す言葉。胸にしまった引き出しをゆっくり魅きながら、ココロの温度をほのかにあげてくれる言葉。棚田チャレンジを通じて、この鴨川の風景が、ココロがいつでも帰れる場所になっていたとしたら、とても素敵だなあと思う。「きっとそうなるよ」青い空を吹き抜ける初夏の風が、にっこり笑っているようだった。

Let’s go to the rice fields !

私たちの田んぼに出掛けよう。

次回開催は7月12−13日。夏は稲も草も伸び盛り。いよいよ米づくりも正念場に入ります。棚田があなたの笑顔を待っています。

8月は半農半陶芸家の窯元でマイ茶碗づくり。それから、収穫に向けてかかしもつくる予定です! ますます楽しくなっていく棚田チャレンジでは、フードハートスタンプラリーも開催中! たくさん参加して、たくさんお米をもらっちゃいましょう。

途中参加大歓迎! 詳しくは種まき大作戦事務局まで。

種まき大作戦実行委員会

事務局 担当:かんざわ

seed@tanemaki2007.jp

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草取り第二弾 レポート01

草取り-2 6月15・16日

text&photo by kco_sawada 澤田佳子

田植から持ち帰った稲も、我が家のミニ田んぼですくすく。さてさて棚田はどうだろう?

マイ田んぼ1

イネミズゾウムシの大量発生から二週間。棚田メンバー達はそれぞれに田んぼに思いを馳せていた。元気に育ってるかなあ〜。イネゾウはどうなったかな? あめんぼは帰ってきたかな? いつの間にか芽生える親心。離れていても我が子はかわいい。

そしていよいよ棚田と再会。そこには前回よりも丈を伸ばした稲が元気に列をなしていた。葉の色も少し濃くなり、株自体も少しではあるが太くなっているよう。「大きくなってるね〜〜!」と元気な稲の姿にひと安心。イネゾウの姿もほとんどなくなり、稲も力を持ち直したみたい。よかった。よかった。

苗と棚田

苗と棚田

稲は元気を取り戻した

それでは詳しい生育状況の報告を。前回廃食油をまいた一段目の田んぼは背丈も伸びて株も心持ち大きくなっているよう。しかし、谷の下側の部分に葉が黄色くなった株が目立つ。宮田さんと博正さんいわく、前回ぬかをまかなかったための栄養不足ではないかとのこと。二段目の田んぼは前回に引き続き一番生育状況がよく、青々としている。一番心配されていた三段目の田んぼは、やはり一番生成長が遅い。他の二枚と比べると丈が少し短く、どこかどっしりとした雰囲気に欠けている。 「がんばれー」と 他の2倍は応援したくなる。

1段目の田んぼには葉が黄色くなった稲も

1段目の田んぼには葉が黄色くなった稲も。

半分は青々と元気がよく、半分は黄色が混じる1段目

半分は青々と元気がよく、半分は黄色が混じる1段目
半分は青々と元気がよく、半分は黄色が混じる1段目

変わらず元気な2段目
変わらず元気な2段目

前回より元気になった3段目前回より元気になった3段目

棚田はイネゾウだけでなく、全体的に虫が少なくなっていた。それと、二段目と3段目では死んでいるオタマジャクシもぽつぽつといた。原因ははっきりとはわからないが、藻がたくさん発生していて、稲の株に集まっていたり、水面に藻の膜が出来ていたりするのも関係しているかもしれないとのこと。天水頼みで水の流れが生まれにくいことが、藻が発生しやすい原因のようだ。

2段目と3段目にはオタマジャクシが浮いているところも
2段目と3段目にはオタマジャクシが浮いているところも。

藻が集まっているところがちらほら
藻が集まっているところがちらほら

そんなわけで、今回の棚田のお手入れは草取り、藻取り、糠まきの三つになった。

これは稲? それとも稗? 草にも生きる知恵がある

今年は雨が多く、田んぼの中の貯水量が多いため、雑草は生えにくい好条件。まだ目に見える程大きくなっているものは少ないが、水中にはしっかり芽を出している。前回同様、手を広げて指を曲げ、泥を掻くようにして草取りを開始。そして中には大きく育った田の草の王者がいる。それはイヌビエ(犬稗)。食べられる稗なら嬉しいのだが稲の間にニョキニョキ顔を出すのは食べられないイヌビエ。成長すると稲より丈が大きくなり、稲より先に結実して種を落とす、田んぼの常連。同じイネ科の植物なので、成長過程は稲とそっくりで 見分けがつかない。

なので、稲は列をなして植えられるのてあった。田植えがまっすぐされていると、 列から飛び出しているものを抜けばいいので、簡単に雑草を見分けることができる。田植の時にまっすぐ植えるのは、収穫をしやすくする他にもこんな理由があったのだ。

稗 稲とそっくり
稗 稲とそっくり。

でも間隔がおかしいなと思ったら稗の可能性大!
でも間隔がおかしいなと思ったら稗の可能性大!

そして平べったいのが特徴
横に広く、そして平べったいのが特徴。

今日は鴨川自然王国で開催中のあわのわマーケットが開催される日。棚田メンバーは一段目の草取りと糠まきで1時間程作業した後、あわのわマーケットに合流した。

繋がるエコネットワーク あわのわマーケット

鴨川とお隣の三芳村の移住者達が中心になって立ち上げた地域通貨で、移住者達の間で助け合いと情報伝達のネットワークをつくっている。現在会員は約150名。館山市を含む南房総地域を中心に、半農半X的生活やアートワーク、サーフィンなど、自身の才能を活かしながら暮らしを楽しむ 人達を結びつけている。そんな彼らが、身近なところでイベントを開いてさらに交流を深めたいと始めたのがあわのわマーケット。開場が決まらず長く中断していたが、ついにこの日、約1年半ぶりに復活を遂げた。

朝から車がひっきりなしに訪れていた会場は、お昼頃には大きな賑わいを見せていた。オーガニック、手づくりものがずらりと並ぶマーケットは、自由であたたかな雰囲気に包まれていて、樹々の緑に彩られ、商品も笑顔も一段と映えを増している。 その中にYaeさんの紹介で今回のゲスト、正木高志さんが姿を表した。
正木さん

60年代にインドを始め世界を旅した正木さん。旅の中で彼は、ものを持つことの束縛、お金の縛り目、環境への負荷など現代社会の多くの矛盾に気づく。そして、家族と一緒にインドだけでなくヨーロッパなどのコミューンも旅し、帰国後に故郷の熊本で農ある暮らしを開始。無農薬のお茶の農園、アンナプルナ農園を開いたという経験を持つ人。また、アメリカの大学で「環境倫理学」を教えるなど、自然や神話など古来の文化と人の営みを結びつけた独自の世界観を持っている。また、「私は病んでいる」という桜の声を聞いたことから植樹活動を始め、 植樹ボランティア「森の声」を立ち上げると共に、 自然のメッセージを伝えるトークライブを各地で開催。現在、農園の主たる業務は娘さんに譲り、トークライブや憲法9条を選びなおす9aidの提唱などの活動を続けている。

そんな正木さんを迎えるにあたってYaeさんは藤本敏夫記念館の庭に建つ一本の木の下をステージに選んだ。そして、

「以前、正木さんの娘さんのラビさんとこんなことを話していたんですよ。私たち似てるね。父の残してくれたものを継いでいくんだねって。私は父が亡くなってから鴨川に来ましたが、それから結婚をし、子どもを産み、土のある生活を始めてとても幸せになりました。 きっと父も、 こんなにたくさんの人がここに来てくれている様子を見て喜んでいると思います」

Yaeさんはどこか遠くを見つめるような表情を見せ、それからまた会場へ向かって笑いかけた。正木さんからは

「僕たちの体は全て食べ物でできているよね。食べ物は自然環境からできている。だから僕たちの体は環境で出来ているんだよ。そして、人間は環境に包まれて生きている。自然は人間に属するものと思う人がいるかもしれないけど、そうじゃない。自然の前で人間は、小さな赤ん坊のようなものだよ。今の文明はお母さんをいじめていじめてここまで来てしまったけど、本当はお母さんなしでは生きられないんだ」

「人間と自然との間には深い川が流れている。しかし、ひとたび自然の懐に抱かれると、自然の側から物事を見るようになるんだよ。僕はそれをグラウディングと呼んでいる。そしてこれからはそういう若い人達が増えていくと思うよ。これは60年代のうねりとよく似ているね」

と自然との一体感を感じ、自然へと着地するグラウディングのメッセージ。

会場には正木さんの歌声とジャンベ、あわマネー会員の沢野さんのギター、そしてYaeさんの透き通る歌声が、さわやかな初夏の風に乗って広がっていった。
ライブ風景

動き出した時代の波、新たな流れは、今、ここから始まっている

正木さんが、加藤登紀子さんが、そして故・藤本敏夫さんが青春時代を過ごした60〜70年代、近代化という名の下に、社会は大きく変わろうとし ていた。その時、一人は旅の中に真実と精神性を求め、一人は歌で社会にメーッセージを伝え、一人は学生運動で大きな社会と闘った後、農的暮らしへの回帰を目指した。そして時代の潮流は、彼らの子ども達の世代、つまり私たちへと移り始めている。

正木さんは、昨年種播き大作戦と「半農半X」の提唱者、塩見直紀さんがつくった本『半農半Xの種を播く』の中で、私たちにこんなメッセージを伝えてくれている。

—人間は、何千年も、何万年も、就職しないで生きてきた。わずか百年前でさえ、多くの人々は就職していなかった。そうだ! 自給自足すればいい! 大発見だった。—

—最近は自然との関わりだけではなく、社会との関係を特に大切に思うようになってきた。暮らしの半分くらいは社会的である方がいい。100%の自給を目指すと、人間は独りよがりになってしまうとガンジーも言っている。自立と共に共生が必要だ。自由に生きて働くために、50%の自給が必要なのだ。—

今、世界は変わろうとしている。それはイデオロギーでもなく、哲学でもなく、小さな暮らしから。怒りではなく、愛と調和から。誰か強烈な一人の指導者によってではなく、ひとりひとりから。トークライブの後の正木さんと、そんな最近の空気について話していた。そして、彼はこう言った。

「次にくるウェーブ(変化の波)は、60年代のウェーブよりも大きいよ!」

私たちが生きているのは、そんな時代なのだ。

そして、種まき大作戦と棚田チャレンジが向かう方向も、そこであることはいうまでもない。

棚田の山に日は落ちて、たき火のそばで始まった夜の宴は、棚田メンバーに、あわのわ出展者の人達、正木さん、Yaeさんも加わり、30人程のパーティーに。夜の気配とたき火の灯りが、参加者をじっくりと腰を据えた語りへと誘う。途中、宮田さんの自宅近くに蛍を見に行くミニツアーも飛び出し、うっとりとするような田舎のよさを楽しむ夜になった。

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