一粒万倍 種まき大作戦
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草取り第一弾 レポート02

2008年5月31日-6月1日

Text&Photo by kco_sawada 澤田佳子

そして田んぼは静かになった

快晴の朝。雨が降ると水が畦からも流れ出すことを考えて、まず他の2枚に影響しない一番下の田んぼに廃食油をまくことにした。量は『現代農業』の記事で見たものの半分。およそ3畝に2リットル。矢吹博幸さんが田の淵を一升瓶を油を少しずつ垂らしながら歩いていくと、水面にうっすらと、油の膜が広がっていった。 矢吹さんが一周歩き終わる頃には、薄く薄く田んぼ全体に油膜が広がっていた。

配食油を撒く

yumaku.jpg

「死んでる。効いてるわぁ」田んぼを見つめていた宮田さんがつぶやいた。油の膜に触れたイネゾウ。最初は素早く泳ぐものもいたが、しばらくすると稲の上でも動かなくなり、息絶えていた。あめんぼも水面を移動することができず、皮膜の上で流されるままになっている。くもも水面から陸や稲の上に避難していった。オタマジャクシは大丈夫、しかし、水際で口を開けて息をする姿は、どこか苦しげに見えてしまう。油はイネゾウだけに効くのではなく、田んぼにいるたくさんの生き物に影響を与えるものなのだ。

ハッタ&宮田

油を水に流してはいけない。その意味はわかっているつもりだった。しかし実際に目の前で小さな虫達が死んでいくのを見て、初めてそれを実感した。やっちゃいけなかったのは、こういうことになるからなんだ。そして、毎日油を水に流しているところもある。それは私たちの台所。例え少量であっても、それが毎食、毎日になればどれだけの量になるか? そして街全体、国全体だとどうなるか? 地球全体では? そう思うと、日々の暮らしの大切さを感じずにはいられない。地球をつくっているのは、まさに私たちひとりひとりなのだ。

それから宮田さんは農薬のことについて話してくれた。現在の農薬にはいろんなタイプのものがあり、全部の虫を殺すのではなく、特定の虫だけに効くようにつくられているのだそうだ。イネミズゾウムシの場合、根や葉など、稲を食べてしまうものには、苗に薬を吸わせ、それをかじった虫だけが死ぬような農薬が使われる。これを使った場合、あめんぼやくもには影響が出ないので、稲自体やそれを食べる人間への影響はあるかもしれないが、田んぼで死んでしまう虫の数は圧倒的に少なくなる。この事実にメンバー全員が愕然としていた。

廃食油のまかれた田んぼは、突然静かになった。その様子を見て、全員があと2枚にはまかないことに賛成。残りは手でイネゾウをとってつぶしていくことになった。そしてその2枚に肥料となる米ぬかをまいて(油のあるところは油膜と一緒に流れるのであとでまく)、この日の作業を終えた。

手でとろう! 動き出すのも速かった女性達
手でとろう! 動き出すのも速かった女性達

足袋!

棚田の風景

田んぼ

米ぬかをまく

棚田の様子

稲の生長の様子は田んぼ1枚ずつで微妙に違っていた。イネゾウに一番やられていたのは一番上の田んぼ。稲が細くなり、元気がない。逆に一番元気なのが真ん中の二段目で、イネゾウの数も他の2枚に比べて少なかった。そして一番下の田んぼが真ん中という具合だった。これからの変化が見逃せない。

そしてまた、田んぼへ行こう

ショックだった、しかし同時に、メンバーの顔は晴れ晴れともしていた。田んぼでの新しい発見、気づきが、生きることの意味をさらに深くしていく。帰宅後、宮越民子さんはメーリングリストこんな感想を寄せてくれた。

「私はいつも無農薬のお米を買っているのですが、自分でやってみると「一体どうやって?!」という疑問が湧いてきました(笑)。
(中略)そしてイネゾウをブチッ、ブチッ、と潰しながら
人がものを食べて生きるということには、ものすごく多くの命の犠牲があるのだなあ、なんてことを思いました」
また、宮田さんからは、一番下の田んぼでイネゾウがほぼ全滅していること、イネゾウと一緒にあめんぼなどもたくさん死んでいることを知らせるメールが届いた。イネゾウ対策は大成功。そして、それぞれの心に新しい視点が生まれた棚田チャレンジ第2回だった。

Text&Photo by kco_sawada 澤田佳子

Let’s go to the ricefields ! 

私たちの田んぼに出掛けよう! 

田んぼはいのちの源、そしていのちの宝箱。

自然の循環の中で生きていることを、心と体で感じよう。

次回の棚田チャレンジは6月14(土)、15日(日)。14日にはあわのわマーケット、正木高志・加藤登紀子の対談もあります!  フードハートスタンプラリーも開催中! たくさん参加した方がたくさん分け前をもらえます。

途中参加大歓迎! 詳しくは種まき大作戦事務局まで。

種まき大作戦実行委員会

事務局 担当:かんざわ

seed@tanemaki2007.jp

※イネミズゾウムシについては福岡県病害虫防除防除所HP、島根県農業技術センター・害虫データベース、Yahoo!きっず図鑑などを参考にしました。

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草取り第一弾 レポート01

2008年5月31日-6月1日

Text&Photo by kco_sawada 澤田佳子

宮田くん

田植えから二週間後。3枚の棚田の前で、鴨川自然王国の宮田武宏さんは考えていた。

まくべきか、まかざるべきか、それが問題だ。

 宮田さんを悩ませていたのは田んぼで繁殖する小さな昆虫。イネミズゾウムシ(愛称:イネゾウ)。王国の田んぼはイネゾウの被害にあいやすく、対処がくれて収量が大幅に落ちたことがあり、それからは毎年イネゾウ用の農薬を使用している。イネゾウこそが、自然王国の米づくりで1度だけ使う農薬の原因だったのだ。しかし棚田チャレンジで農薬は絶対に使えない。そこで、かわりに廃食油を使うという案が持ち上がった。夕方に水の中に入っていくというイネゾウ。水面に油の膜をつくることによって、水から出入りする時にイネゾウの体が油で覆われ、窒息して死んでしまうのだ。しかし、いくら食用だとはいっても、使うのは油。環境へ与えるインパクトを考えると、なかなかクビをたてには振れない。

稲01
白い部分はイネゾウに食べられたところ。

イネゾウ

 同じく自然王国の藤本博正さんは、有機農業を営む仲間達にリサーチを続けていた。

 多くの答えは「あまり被害にあったことがない」「強い苗を植えれば大丈夫」というものだった。自分で育てた苗を植えているところではあまり問題になっていないらしい。しかし、棚田に植えられたのはハウスで育てられた機械植え用の苗。イネゾウ発生後の稲は、色が淡く元気がないのも明らか。このまま放っておいていいとは思えない、どうしたらいいだろうか?

 ふたりの報告をメーリングリストで受け取った棚田チャレンジのメンバーたちは、インターネットや知人から情報を集め、対策を考えた。有力なのはやはり油の膜をつくること。しかしどの程度効果があるのかは、誰も確信が持てない。とりあえずは廃食油を準備して、現地で草とりをしながら考えることになった。

【イネミズゾウムシ】

分類:昆虫 甲虫目 ゾウムシ科 

学名:Lissorhoptrus oryzophilus

原産国:アメリカ

日本上陸年:1976年

上陸地:愛知県

現在の分布地:本州から九州

繁殖:メスのみで増殖する単為生殖

好物:イネ科の植物(成虫)稲の葉、(幼虫)稲の根

天敵:外来の昆虫のため、日本の中ではみつかっていない

感動の初対面! 田んぼに暮らすいのち達

 私たちはなみなみと水をたたえた棚田に迎えられた。あいにくの雨、しかし天水の棚田にとって、雨は恵みの源でもある。お水が多いおかげで今年は雑草も少ないそうだ。そしていよいよ噂のイネゾウとの初対面! イネゾウは小さなもので体長2ミリ、大きなもので4ミリくらいのグレーの小さな虫だった。そしてその顔に、なんと、ゾウのような長い鼻がある!! おーー、これがゾウを名乗る由縁なのか! 棚田メンバー達に小さな感動の渦が巻き起こる。

イネゾウをどうするか、懸案はひとまずおいて、まずは草取りにとりかかる。田植に引き続きこちらも初めてやる人が多いので、まずは宮田さんからレクチャー。

草

水面には草が出ていなくても、水の中では既に芽を出している。

指

草取りは指を写真のように曲げて、土の表面をかき混ぜるようにして指に引っ掛け、稲の株と株の間にある草を取り除いていくのだ。中腰での作業はきついかな、と思いきや、意外に楽しい。それは普段見ることのないいのち達とのたくさんの出会いがあったからでもある。

みんなで草取り

みんなで草取り02

「オタマジャクシ大っきーい!」「あめんぼもいる!」「くももいろんな種類がいるね」「ここって蛍もいるの?」「ゲンゴロウだ!」「せりってまだ食べれたっけ?」みんな子どものようにはしゃぎながら視線は田んぼに釘付けだ。「雨で寒い!」と言っていたのに、いつの間にか体もぽかぽかになってるから不思議。畦に穴を開けてしまうアメリカザリガニは唐揚げにするとおいしいらしいという情報を手に入れてザリガニ捕獲大作戦を企てつつも、今回は穴だけで姿は見えず。作戦実行は次回に持ち越された。

和麻
「これは? これは?」と次々に生き物を指差す和麻くん

作業は二時間もしないうちに完了。王国の畑で野菜を収穫し、みんなで夕飯の準備に取りかかる。穫れたて野菜の味は最高! オーガニックビールとうまい日本酒片手に、話はどんどん弾んでいく。そして話はいよいよイネゾウをどうするかに。

1枚だ! いや、2枚。……やっぱり1枚!

3枚全部に廃食油をまかず、まいたところとそうでないところで効果を比較したい。それはみんな同じ思い。しかしその廃食油をまく田んぼは1枚にするのか、2枚にするのかがなかなか決められない。とりあえず2枚分の廃食油を準備して、1枚まいてその様子を見ながら考えることに決定した。

《イネミズゾウムシの暮らし》

冬は活動せず、畦畔や雑木林、果樹園などの枯れ草や落ち葉の下で越冬。

4月から活動を開始し、まずは越冬地近くのイネ科の雑草などを食べ、田植が終わった頃に水田に移動する。成虫は稲の葉を食べ、1日に1から2個ずつ,茎の水際近くに卵を産みつける(成虫1頭当りの産卵数は50個。産卵期間は30〜60日)。卵は約7日程(4〜5日という記述もあり)でふ化し、ふ化した幼虫は土中にもぐって稲の根を食べる。幼虫は約1か月程経つとイネの根に土まゆをつくってさなぎになり、7〜14日程で成虫になる。

新成虫の発生期は7月上旬〜8月上旬頃。8月下旬頃には田んぼを出て越冬地へ移動し、しばらく雑草などを食べたあと休眠。

*稲への被害は主に幼虫による根の食害。幼虫が根を切ってしまうため稲に栄養がいかず、分けつ(苗が株を増やす)が進まず成長を妨げる原因になっている。

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田植え レポート02

2008年5月5日-6日

Text&Photo by kco_sawada 澤田佳子

そして、命は続く

2日目は朝からカボチャの苗植えに挑戦。藤本博正さんに教えてもらいながら、王国の第2農場で80本のカボチャの苗を植え付けた。テキパキと作業をしながら、時折真剣な表情で説明をする博正さんは説明にも静かな熱が入る。お手製のビニールハウスで大事に育てられた苗たちが運ばれたのは、トウモロコシ製の光分解性マルチ(保温と草よけのため。ビニール製とは異なり土に還る)、籾殻(土壌改良と草よけ、畝の間の水はけをよくするため)が敷かれた畑。肥料には自家製のぼかし(ぬかとおからと鶏糞を混ぜて発酵させる) が混ぜられている。ここに等間隔に苗を植えていくのだ。この日植えられたカボチャは7月下旬に収穫予定。400個くらい穫れる予定(!)なのだそう。こちらも楽しみになってきた。

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この日から大地に根を張り始めた命たち。これから太陽や雨や風など自然の力をいただきながらすくすくと大きく育っていくことだろう。ところであなたは植物にとって一番大事なものはなんだか知っている? それは育てる人の愛。田んぼでは「稲は人の足音を聞いて育つ」なんていう人もいるのだそう。植物もきっと、人間の心がわかっちゃうんだね。

 Let’ go to the rice fields !

次回の農の日は5月31日と6月1日。あなたも少し背が伸びた稲たちに会いにいきませんか? 稲の間に紛れ込んだ草をとり、そして私たちの田んぼに幸せの波を広げに行きましょう!

途中参加大歓迎です。多く参加した人が、たくさん分け前をもらえます。参加申し込み、お問い合わせは事務局まで、お気軽にどうぞ。

種まき大作戦実行委員会

事務局 担当:かんざわ

seed@tanemaki2007.jp

Text by kco_sawada 澤田佳子

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